選手達に、「練習終わったら、今日はテレビを観るぞ!」宣言をしていた私。
なぜなら、テレビ番組「消えた天才」に、1学年先輩の特集がある事を知っていたからだ。
その先輩とは、阿知波さん。
1年生から1番ショートで活躍されていたので、いずれプロに行かれる方だと尊敬と憧れの眼差しで私は阿知波さんを見ていた。
憧れ過ぎて、当時はお話をさせて頂く事すら私は出来なかった。
なぜなら、スーパースターには、近づけないでしょ⁈
いや、近づいてはいけないのだ。
幼い頃に抱く、ウルトラマンや仮面ライダーのように、私の中にあるヒーローに接する礼儀のようなものだった。
ある時、風の噂で野球を辞められた事を知った。
「えっ⁈噂やろ⁈まさか⁈」
あまりの衝撃に、ショックだった。
テレビでは、松井さんと阿知波さんの再会から始まり、野球界から突然消えた理由が明らかになった。
そこには、野球が好きで、野球に向き合い、そんな先輩方お二人の選択の違いがあった。
野球を続けていかれた松井さん。
野球を辞める事を決断された阿知波さん。
違いはあるけれども、好きな「野球」に対してご自身と向き合われて、誠実な在り方は全く同じだった。
そして、近いようで遠い存在のお二人の選択の違いに、「らしさ」が滲み出ている感じが私の中に残った。
そんな部分に触れさせて頂いた時、テレビの前で涙している自分がいた。
こんなお二方と、野球をご一緒させて頂いた時間は、今の私の財産となっている、
一緒に野球をさせて頂いた時間があった事に、心から感謝しています。