中学生の野球は、入団してからあっと言う間に時間が過ぎていく。
11月になり、来期に向けた体験練習の参加も始まってきた。
そして3年生は、来月は卒団式を控えている。
今日は卒団を控えている3年生のキャプテンとの物語を書いてみよう。
新チームとなり、新キャプテンを発表した時、「はい!」と、威勢の良い返事。
が、その返事をする前、一瞬曇らせた表情を覗かせていた。
その反応に違和感を感じた私は、その後に彼との時間をとった。
「なんか顔が曇っていたように見えた感じがしたけど、なんか不安な事があるんか?」
そう尋ねると、彼が答えた。
「小学校でもキャプテンやったんですけど…
キャプテンやからと言うので、嫌な思いをいっぱいしてきたから… 」
理不尽な思いを沢山してきた事を、その時に初めて私は知った。
私は、自分の言葉を選びながら彼に答えた。
「このチームに入って、これまでのキャプテンを見てきたやろ。自分と同じような目に合っていると感じた事は、あった?」
「いいえ。このチームでは無かったです…」
「そっか。じゃあ、俺達を信じてくれよな。
で、しんどい時があったら、伝えてくれよ。
頼むな。」
キャプテンとしてのスタートは、こんな所から始まっていった。
月日が経つにつれ、キャプテンは逞しく成長していった。
3年生の中で最も小柄な選手が、最終的にはチームのエースとなっていった。
それは、私達指導者も想像をしていなかった事だった。
チームがどんな負け方をしようと、仲間のミスがあろうと、声をかけ続け、出し続ける姿があった。
仲間を責めない。
声を出す。
この2つをひたすら守り続けるキャプテンとなっていった。
そんな彼は、10月いっぱいでチームの練習を一旦終え、受験勉強へと切り替えた。
高校の体験練習に参加した際、憧れる先輩に出会えたらしい。
そして、新たな目標が見つかった。
憧れの先輩と三遊間でコンビを組み、野球がしたい。
そして、最上級生になった時に、再びキャプテンをやりたい。
「キャプテンとして野球をし、達成感があった。その思いを高校でも味わいたい。」
夢を叶える為に、もう少し勉強を頑張らないといけないらしい。
この先、どんな物語となっていくのか楽しみでならない。
頑張れ!
そして、ありがとう!!