フィールド・オブ・ドリームズ │ 奈良県の中学硬式野球チーム

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  • 上達できる強い体を基礎から作る「体幹」

  • 野球の楽しさと成長を実感できる「体感」

「体幹」上達できる強い体を、基礎から作る!

私たちフィールド・オブ・ドリームズでは、通常の野球練習に「体幹トレーニング」を取り入れて実践しています。
体幹トレーニングで身体への理解を深め、野球に必要な体をバランスよく鍛えることで、能力の限界まで力を出し切れます。

自分の体を思い通りに動かす力

体幹とは文字通り体の「幹」となる部分で、腹筋や背中、腰周りも含めた胴体部分全般を指します。手足や頭など胴体とつながる部分を機能的に動かすためには、胴体を鍛えることが重要になります。

教えられた技術を身に付けるためには、そのベースとなる「自分の体を思い通りに動かす」ということが大切です。この基本ができていない状態でいくら技術を詰め込んだり、バットやボールを持たせても、効果的な練習にはなりません。

けがや故障をしにくい体に

近年、子どもたちの体力・運動能力の低下が問題視されています。文部科学省の調査でも、昭和60年頃から15年以上にわたり、子どもの体力や運動能力は低下の一途であることが分かっています。(※1)

体幹を鍛えて強い体を作ることで、体力・運動能力を高め、技術向上の礎を築きます。また、同じ運動をするにも無理な動きが減るため、けがや故障をしにくいというのも大きな利点です。
成長途上の中学生たちにとって体幹トレーニングは必須のものと考えています。

「野球肘」での故障は4年間でゼロ!

「野球肘(やきゅうひじ)」は、主に投球による肘の酷使が原因の関節障害です。
投球時や投球後の痛み、曲げる・伸ばすの動作がしにくくなる、動かせなくなるなどの症状があります。

特に体が十分に出来上がっていない子どもが、少年野球での無理な負担や疲労により発症するケースが多く、全日本野球協会などの調査(※2)では、実に3割以上の選手が肘の痛みを経験していました。
成長期に骨がダメージを受けるため後遺症が残る可能性もあります。

当チームでは、専門家のプログラムに基づいた体幹トレーニングを実践し、体格・骨格をしっかりと鍛えています。その成果は、チーム結成以来現在まで、野球肘による怪我や剥離骨折を1人も出していないという実績が裏付けています。

※1:子どもの体力の現状と将来への影響
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/attach/1344530.htm
※2:平成27年度少年野球(軟式・硬式)実態調査
http://www.bjd-jp.org/news/doc/2015_survey_childrensbaseball.pdf

探し求めていた、理想の指導方法です

監督 堀 泰人

かつて私はバッティングスクールでいわゆる「教科書通り」の技術指導をしてきました。例えば、打つ時に体が開いてしまうのは体重移動がうまくできていないからで、開かずに打つ方法論を伝えてその通りに指導します。

ところが年々、こういう教え方に手ごたえがなくなってきました。「中学生なら、これくらいできるはず」という身体的なレベルが低下し、そこに技術を伝えていくことの限界を感じていたのです。
良い指導方法を探し求めていたある時、「体幹トレーニングの第一人者が岡山県で中学生の野球チームを教えている」と聞き、飛んで行きました。

ブリッジに側転、およそ今まで見たことのない練習風景に、
「これができたら、体重移動、口で言わんでも勝手に覚えるよなぁ」「側転きれいに回れなかったら、ボール投げられんよなぁ」
と、まさに目からウロコが落ちた思いでした。

技術の習得も大切ですが、本当に上手くなるためには、時間をかけてでも、こうしたトレーニングで運動能力の向上に取り組まなければならないと考えています。

体幹トレーニング監修・矢田竜也先生のコメント

自分の身体をよりうまく、効率的に使うことができると、無駄な力に頼らず、パフォーマンスを向上させることができます。
ところが、一般的にパフォーマンス向上、障害防止のために行われているトレーニングの多くは、力みを生じる結果となり、無駄な動きを生むことになります。

動きの本質は、目に見えないところにあります。
心と身体が調和して初めて深層筋が働き、合理的な動きが可能となり、故障せず、パフォーマンスを向上させることが可能となります。

矢田竜也プロフィール

大阪出身。沖縄の大学を卒業後、大阪の柔道整復専門学校に入学し、国家資格を取得。5年間修行ののち開業。
プロ野球選手、全日本選手、オリンピック選手の身体能力向上のための指導を行っている。自ら開発したエクササイズを続け、50m走5秒4、バスケットリングを両手でつかむなど自身の身体能力も現在進行形で上がり続けている。

体幹トレーニングの様子

専門家のアドバイスを受けながら、一人一人の状態や時期に応じたトレーニングを行っています。

「体感」野球の本当の楽しさを実感する!

「タイカン」を掲げたもう一つの意味は、子どもたちに「野球の面白さ、楽しさ」を体感、体の底から感じてもらいたいということです。

野球を本当に楽しめているか?

私たちのチームを選んでくださった、ある保護者の方にお話を聞くと、こんなことをおっしゃっていました。
「(以前いた少年野球チームで)子どもは好きで野球を始めたはずなのに、本当に、野球を楽しめていたのかな?」
以前所属していたチームでは、とにかく試合に勝つことが最優先され、それを理由に厳しい指導に子どもたちが盲従する、それこそ奴隷のように扱われていたといいます。親の目から見ても「野球ってなんなんや?」というのをものすごく感じておられたそうです。

野球チームにとって、試合に勝つ、リーグで好成績を収めるというのは大きな意義のあることです。勝つことでしか得られない達成感、喜びもあります。
しかし勝利を追うあまり、子どもたちを厳しい練習や指導で束縛し、それが原因で「野球を楽しむ」という原点が忘れられてしまっていないか、と思うのです。

本当の楽しさを実感してもらうそれが「タイカン野球」の意義

私たちを含む今の親世代が子どもの頃は、近所に野球やキャッチボール、壁当てのできる場所が普通にありました。「投げたり打ったりするのが楽しい、面白い」ただそれだけで、友達を集めて、思い思いのプレーで野球をすることができました。しかし悲しいかな、今はそうした環境にありません。

野球チームに入り、練習で「ここに投げろ」「こう打て」と教えられ、試合では「ミスするな」と叱られる。子どもたちは真面目ですから、言われた通りにやろうとする。レギュラー争いに戦々恐々とし、気持ちもプレーもどんどん小さくなります。それは子どもたちにしてほしい野球でしょうか。私たちが暗くなるまで広場を駆け回った、あの楽しかった野球はそこにあるでしょうか。

誤解を恐れずに申しますと、全国大会を目指すとか、リーグ優勝を勝ち取るとか、そういう野球を教えるのは自分たちの役割でありません。
野球というスポーツの、本当の楽しさを実感してもらうこと。これがフィールド・オブ・ドリームズの「タイカン野球」の意義です。

プレーする喜びと、人としての成長を

先発ピッチャーが打ち込まれた、ある試合中のこと。

キャッチャーをやっていた選手が言い出した。
「僕に投げさせてください!」
普段はそんな突拍子なことを言わない。
言われたことを、言われた通りにやるような子だ。

聞けば、相手の選手とは小学生の時、同じ野球チームだったという。
当時の彼はクリーンアップ、自分は下位打線。

“でも、昔の僕とは違うんだ。今の力を見せてやりたい──”

本心から、強く思うところがあったに違いない。
もう顔つきから違っていた。
彼の気持ちを受け止め、私はマウンドへ送り出した。

自分の気持ちに「正直」になれたからだろう。
打たれはしたが、どこかすがすがしい顔をしている。
一緒に見ていたお母様が言う。
「子どもが、野球であんないい顔したのは初めて!」

「僕は、あの打席に納得しています」

忘れられない、ある選手の言葉だ。

彼は入団時から故障がちで、半年間ほど試合に出られずにいた。
「自分はこんなんだから、控えのままでいいです」
そう言う彼に、私は思うところがあり、ある試合で代打に送った。
当然というか、その打席は何もできずに終わる。しょうか。

次の試合、また彼に代打を告げる。結果は平凡なセカンドゴロ。
試合後「どうだった?」と聞くと、意外な答えが返ってきた。

「この前は、ドキドキして、バットを振ることすらできなかった。
だから今回は、最初のストライクで、
絶対にバットを振るんだ!と決めてたんです」

そして力強く、冒頭の言葉を口にした。

試合の大勢には何ら影響のない1打席かもしれない。
でも本人の中では、そのひと振りに
「失敗を恐れずに振ろう」という強い決断があったのだ。
だから彼は、この一打にものすごく納得していた。

目に見える結果だけを追うのでなく、
その影にある、小さな「勇気」に気付いてあげることが
指導者の役目だと思う。

ある日の練習で、みんなを集めてこう伝えた。

「今日の午後はみんなに時間あげるから、
自分たちで課題を話し合って、時間決めて練習やり!」

子どもたちの様子を見ていると、各々自分の考えをしっかり述べている。
「さっき挟殺プレー失敗してるから…」
「バッティングを、もう少し本数決めてやりたいから…」
「この練習やらんでええの?もう時間ないよ!」

ワンプレーごとにお互いを指摘し合い、ディスカッションを重ねながら
そして自分たちだけで、納得するまで練習をやりきった。

「仲間たちと一緒に、何かを考えて、責任を持ってやりきる」
「慣れ合いにならず、仲間同士が切磋琢磨して高め合う」
これは野球に限らず、生きていく上で大事なこと。
子どもたちの成長を実感する、とても意義のある練習となった。

そして力強く、冒頭の言葉を口にした。

試合の大勢には何ら影響のない1打席かもしれない。
でも本人の中では、そのひと振りに
「失敗を恐れずに振ろう」という強い決断があったのだ。
だから彼は、この一打にものすごく納得していた。

目に見える結果だけを追うのでなく、
その影にある、小さな「勇気」に気付いてあげることが
指導者の役目だと思う。